「君と最後に会った日」
俺はいつものように
目をこする
周りから見たら
目やにがあるのかとか
ゴミが入ったからだとか
適当なことに紐づける
案の定
答えはNOだ
じゃあ逆に俺は
なぜ目をこするのか
この小説の中だけは教えてあげる
俺は…自分の目が
大っ嫌いだからさ
周りから見て気持ち悪いのか
どうだとか上手くは分からない
けど…よく言うんだ
「なんだよ その寒々しい目は」
この言葉は俺が配達員をしているからであって
毎日その言葉を聞く
自分では怒ってもない
なにも感情もない
その目を周りからだと嫌われている
お陰であって
その仕事は速クビになった
笑えるよな
この小説を見てる人だって
俺のこと大声出して息が切れるまで
笑ってろよ…俺は
そんな顔してこの小説を読んでいる
その!今の顔がとてつもなく大嫌いだ!!
っと…すみませんでした
ほら誰もいないのに
謝ってしまった。
けど俺は分かる
その言葉の先には幸運が恵まれてるのだと。
世の中には
この目を好きだという人は何人いるのだろうか
10人か?いや…それだと多すぎる
1人…そう
こんな少人数で十分だ
でもそれがまた
妄想ではない。
実際に俺は
外見を悪く言うどころか
褒めまくる人が目の前に現れたんだ
「私はその目…好きですよ」
何ということか
やはり運命はいるのだと心から
そう思ってしまった
「好き…ですか?」
と聞くと
「なぜ悲しそうに笑っているの?」
また不思議なことを言う
俺はあまり表情に出ない男だ
なるほど。
これは想像以上に
面白い人に出会った
毎日通うジムのすぐ近くの公園で
よくチラシを配ってる人に
話しかけられるなんて
あの人も暇なんだなと鼻で笑う
俺は褒められることが
数少ない。
そんな一言の言葉で
俺は浮かれてしまい毎月…いや
毎日と言っていいほどその公園を横切る
けれど話しかけてくれたのは
たった4回だけ
5回目からは会っていない
体調を崩したのかと心配するが
赤の他人なのになにを心配して俺に
何ができるのか…何を持ち合わせているのか
自分自身よく分からない
よく風邪を引くと3日で治るのが
普通じゃないのか…?
男女でそんなにも違うなんて
科学的に証明という言葉が今、現在欲しい。
再び公園の方へと視線を向けるが
いつもの場所にはいなく
その近くの信号の前にいる
「こんにちは」
と、話しかけると周りから
変な目で見られてるのが微かにわかる。
陰キャの俺が
挨拶を間違えたのか…
そう考えると
1人お婆さんが話しかけてきた
「あの…どなたに話しかけてるんですか」
「はい?」
俺は耳を疑った。
目の前にいる彼女は
俺の幻なのか…
唯一 俺の助けとなった
人物はもう…この世から消えてしまったのか
俺は彼女の隣に立った
普通から見たら信号を待ってる人だと
思うだろう。
けど俺は見えている
何故か苦しい現実なのに
『悲しそうに笑っている』のが
横目でも分かる。
最後の言葉でも
彼女の優しさは絶えない
「私はその目が好きでした」
最後に伝えたいことは
俺が根に持っていた
目のことだった。
俺は自分の目が
褒めてくれた目のことが
大好きになるように
鏡へと向き合っている。
6/27/2022, 4:16:36 AM