hashiba

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袖振り合うも多生の縁とは言うが、まさか恋人の地位を手に入れてまでその細い縁に縋るとは思わなかった。自分で自分に感心する。それほどに彼という存在は、得難く手放し難い幸運だった。こうして固く結んでおけば、来世でもきっと出会うことになるだろう。だから今は今しかできないことをする。指先で輪郭をなぞって捉える。熱を暴く。生まれ変わればそれらは違う姿形をとってしまう。向かい合う自分も次には別のもの。しがみつく腕を殊更に引き寄せ、その場限りの戯れに興じる。夜が終わるまで何度も、飽きもせず。


(題:あなたとわたし)

11/8/2024, 12:59:58 AM