いぐあな

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300字小説

俺の合理性

 衛星基地に務める警備員には、一人一体、ロボットのパートナーが着く。
「逃げたペットの保護など業務外です。意味がありません」
「無くしたぬいぐるみの捜索など意味が……」
「超過勤務は作業効率から意味がありません。私の方で休暇届を出しました」
 俺の相棒は『意味がない』が口癖の合理性一点張りの奴だった。

 崩れる天井から俺を助けた奴が瓦礫の下から言う。
「施設内の職員は全て避難しました。後は貴方が脱出すれば人的被害は0です」
「そうだな」
 有り合わせの機具で奴の頭部を何とか外し、脱出口に向かって走る。
「一刻を争うときにロボットを助けるなど意味のないことを!」
 奴の非難にニヤリと笑う。
「俺には十分、意味があるんだよ!」

お題「意味がないこと」

11/8/2023, 11:20:10 AM