NoName

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世界がもっと穏やかだったら僕だって投げ出そうとしなかった。

途絶えることの無い騒音。蛾の発狂か無機物の嘆き。耳に染み付いて離れないこの音と不快感。もう僕には空しかなかった。そこへ行きたかった。静かな場所で綺麗な絵を描いて誰にも何も言われない、僕自身が絵の中に閉じ込められたかった。僕自身を絵にして欲しかった。

だが僕は文字にされてしまった。隣に並ぶ文字同士が叫びあっている。誰かここから僕を救い出してくれ。

9/4/2023, 12:33:42 AM