Sato

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喧嘩などしたことがなかった。

時に衝突することも必要だったのかもしれないが、

感情を表に出すことが苦手な僕たちはとてもよく似ていて

お互い相手の機嫌を察して思いやってきたし、

これからもうまくやっていけると思っていた。



思いやりがあれば大丈夫。

そう思ってひとつ屋根の下で始めた暮らし。

彼は優しいのではなく、ただ、鈍感なだけだと気づく。

気付いたらやる。これができない。

洗濯物が溜まっても、シンクに洗い物が残ってても、

シャンプーボトルがほとんど空になってても、

何も気付かないのだ。




「随分洗濯物溜めたね。下着足りないんだけど。」




はぁ?





心の灯火が、消えた。

9/2/2024, 3:47:15 PM