灰田

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「目が覚めるまでに」

電車の中でほんの短い時間、墜ちるように眠ることがある。
物音も人声も、ガタン…ガタン…という音もハッキリと聞こえながら、夢を見ている。

そんな時の夢の中では、焦っていることが多い。
アリスの白ウサギみたいに、急がなくっちゃ、次はあれしなくっちゃ!!忘れちゃダメだ!ってずっと言ってる。

でも、途中で絶対って言っていいくらい…あれ?って氣付く。

ああ、これ夢なんだ。夢なんだ。
急がなくっちゃならないことも、忘れたらいけないことも、ぜんぶぜんぶ、夢なんだ…。

それで、見ていた夢が端から溶けていくみたいに…ホッとしながら焦っていた夢の中身を根こそぎ忘れ切って…、ハッと目を覚ます。

夢だった、忘れていい、安心した。(だから、忘れた。)

電車の中の夢は、いつもこんなふうに覚める。

8/3/2024, 10:23:45 AM