黄身

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追い求めていたものがいつしか見えなくなって、わからなくなって、私はわたしの理想郷のなかでひとり迷子だった。あのころそれは隣にいて、ぬくもりだって確かにあったのに、いつこの手をすり抜けていってしまったのだろう。どうして気がつけなかったのだろう。わたしの夢見る理想は、もうあのころからずいぶんゆがんでしまったのかもしれない。ただまっすぐ憧れていただけなのに、私はどこかで踏み違えてしまったらしい。
いまこの手に残るのは、歪み腐った憧れと、美しいままの恋心と、もう元には戻らぬ、つめたいあなた。

3/19/2025, 2:04:02 PM