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前略
あなたへの想いを綴り始めてからというもの、
貴方と共に過ごした折々のひとときを思い返しながら筆をとるこの時間が、 私にとって何より心待ちのものとなっております。
静かな机の灯のもと、あの時の笑みや言葉を一つひとつ辿っておりますと、胸の内にやわらかな温もりが満ちてまいります。

人にはそれぞれ、胸の奥をふと震わせるような恐ろしいものがあるのでしょう。
私にも、夜更けの静けさや、得体の知れぬ気配に心細くなることがございます。
けれども貴方と時を重ねるうちに、貴方にもまた、同じように胸を曇らせるものがあるのだと知りました。

共に過ごす時が増えるほど、貴方のそうした小さな不安や恐れを、私は一つひとつ覚えてゆきたいと思うようになりました。
そしてもし叶うのならば、その恐れが少しでも和らぐよう、そっと寄り添える者でありたいと願っております。

怖いものを前にして、無理に平気なふりをなさらなくてもよろしいのです。
どうか意地を張らず、二人で肩を寄せ合いながら、その恐れを少しずつ追い払ってゆけたなら、それほど嬉しいことはございません。

これから先、末永く共に歩むことが許されるのなら、怖くて眠れぬ夜もまた訪れることでしょう。
その折には、静かな灯りをともして他愛のない小噺など語り合いながら、共に夜更かしをいたしましょう。

やがて心地よい夢に誘われ、朝の光に目を覚ましたとき、隣に貴方の姿がある。そう思えば、昨夜の恐ろしさなど、きっと遠い夢のように消えてしまうのでしょう。

そのような未来をふと想い描き、胸の内が穏やかなぬくもりで満ちてまいりましたので、今宵はこのあたりで筆を置くことといたします。
草々
追伸
ようやく心にもゆとりが生まれてまいりました。いつも静かに耳を傾け、私の拙い言葉を受け止めてくださること、心より感謝しております。もしご迷惑でなければ、また折に触れて貴方のお声をお聞かせいただけましたら、これに勝る喜びはございません。

3/16/2026, 11:26:01 AM