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片方は安心、片方は不安。
秤の両側のように我らはいつも二つに分かれていた。
今日は相方は不安、我は安心であった。
昨日は相方は安心、我は不安であった。

相方は不安で仕方ないのを胸に押しとどめ、ぎゅっと耐えていた。
我はその姿を見るのが辛い一方で、不安がない状態で安心感に包まれている。

昨日、不安だらけだった我は、相方にすがった。
相方は、何でもないかのように我の不安を貰っていってくれた。我は安心し、相方は不安でまみれた。
その不安は今も尾を引いている。

扉が開いた。
番人が我らに問いかける。
相方が応えた。番人に連れていかれる。

扉が閉まる。

分厚い壁の向こうに何があるかを我は知っている。
我らは日に一回、どちらか片方がそこに連れていかれる。

冷たい壁は音をさえぎるが、相方の苦悶の声が胸の内で響いた。
拷問を受けている相方の姿を抱くように膝をかかえてうずくまる。

拷問の時間になるまで、我らは安心と不安のどちらかに支配される。今日は相方が不安で、我は安心。

しかし、時間が来てからは、もう関係ない。
我も相方も、抱えきれない感情に耐えるしかない。

1/25/2024, 10:53:13 AM