月見茶

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生きる意味

「貴方が生きているのは何故?」
「愚問ね」
 有栖は目の前にいる女に啖呵を切るが如く吐き捨てた。
「生きてる価値があるとでも?」
「勿論。あるから今も此処で息をしているんだから」
 有栖は気だるげに頬杖をついた。女の質問に対して睨めつけるような態度を取り続ける。
「あんた、将来悪女とか言われそうね」
「それはお互いそうじゃない? まあ、貴方の今世では無理そうだけれど」
「言うじゃない、不遜家様。いや、自信家様?」
「人生は自信を持ってこそ生きやすい。当たり前のことを母親の子宮に忘れてきたの? 可哀想な御方」
 有栖は何処か楽しそうに、女を言葉でいたぶる。彼女の顔には醜さではなく妖艶さが漂っていた。
「関係ないでしょ。生きてる価値なんかホントにないくせに」
「さっきと同じこと言ってくるのね。その価値を決めるのはあくまで私。貴方に割り込む隙はないのよ」
 女は顔を赤くし、有栖を睨みつける。
「ようやく、ぐうの音をあげたわね。面白い茶番だったわ」
 有栖は立ち上がり、女に背を向けた。
「ああ、言い忘れてたわ。私が生きる理由」
 彼女は愉悦の笑みを浮かべていた。
「貴方のような人を打ち負かす為……ということにしておくわ」

4/27/2026, 2:09:54 PM