昨秋から心身のバランスを崩し床に伏していた。
冬が来て、年が変わっても具合は良くなるどころか、ますます自分が弱っていき、社会から忘れられているような不安に苛まれていた。
そんな灰色の日々、唯一、支えになったのは初秋に庭に植えた球根だった。チューリップ、水仙、ヒヤシンス、ムスカリ、ラナンキュラスを植えてあった。
布団の中の自分と土の中で眠っている球根たちが重なる。今はここでこうして力を蓄えているのだ、春になったら芽をだし花を咲かせる球根のように私も布団から出て、庭へ出て花の匂いを思いきり吸い込み、蝶の様に春爛漫の世の中を謳歌するのだと想像した。
その時間だけは悲しみや苦しみから解き放たれる事が出来た。
春が訪れ、最初に水仙が咲き、順に庭いっぱいに花が咲き出して、蝶も時折遊びに来た。私も少しずつ外に出ることができるようになった。けれども、紫陽花が咲きだす頃にまた、体調を崩してしまった。
再び辛い日々に戻ってしまったが、
それでもこの夏が終わってまた秋になれば、球根を植えようと思う。
そして凍てつく心を
蝶よ花よと希望を持つことで
溶かしていけたら。
#蝶よ花よ
8/8/2024, 12:10:04 PM