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 黒の上に深い藍を何度も塗り重ねた空に煌めく無数のまたたきを遠い天蓋にして手を繋ぐふたり。
「待っていてくれる?」
 願うように繋いだ手に力をこめる。
 応えるように握り返してくる力に、安堵がにじむように広がっていった。
「待てるあいだは、待ってる。待てなくなったら、ごめんね」
「おてんばさんをあまり長く待たせないようにするね」
「えぇ? 別にちょっと長くなっても平気だからね。ちょっと外に出るだけだから」
「いーや、それを聞いたら頑張って急がないとって気持ちになった。……がんばってくる、から」
「うん。いってらっしゃい。待ってるよ」
 軽口を交わしても、それでも最後には怖気付く気持ちが顔を出す。
 そんな弱い気持ちを見透かすように、やさしい声が送り出す言葉を紡いでいた。

#星空の下で

4/6/2023, 9:37:33 AM