—もう一人の私—
「本当に一人遊びが好きね」昔、母は私に言った。
だから私は「一人じゃないよ」と反論したけれど、そう答えると母の表情にハテナが浮かんだ。
小さい頃の私は知らなかったのだ。
みんなの影に、心がないことを。
それから私は中学生になった。バレーボール部に所属し、充実した日々を過ごしている。
「だんだん上手くなってる気がする」
初心者として入部してから、はや三ヶ月が経った。足から体を伸ばした影も、私を見て頷く。
トスをあげ、影のスパイクを打ち返す。今度は影がトスをあげ、私がスパイクを打ち返す。
こういう風に二人でボールを打ち合う練習をしてきた。以前と比べるとやはり、自分が成長してきたのを感じる。
「これからも一緒に頑張ろうね」影はまた頷いた。
光があれば、影がある。私が死ぬまで、影は側にいてくれる。
いつまでもこの子と切磋琢磨して頑張りたいと思う。
お題:光と影
11/1/2025, 7:01:54 AM