「波にさらわれた手紙」
忘れ物をして教室に戻ったら、親友が私の好きな人に告白しているところを偶然見てしまった。
混乱して激しい動機と吐き気に襲われて急いで教室から逃げ出した。
帰り道、堤防に座って海を眺めて気持ちを落ち着かせ、ふと鞄の中に手紙があるのを思い出した。何度も彼に渡そうとして躊躇した手紙。
「もうこんなの、意味無いじゃん…。」
私はその手紙をビリビリに破いて海に投げ捨てた。紙屑になった手紙はそのまま波にさらわれて溶けていった。
翌日、学校に転校生がやって来た。
綺麗な金髪と透き通るような翡翠色の瞳。
おとぎ話の王子様のような姿にクラス中の女子が色めき立つ。
そんな彼が突然、スタスタと私の元へやって来て手を差し伸べた。
「手紙、ありがとう。今日から君と僕は恋人だ。」
「……はぁ!?」
再び教室中がどよめいた。
「昨日、僕に手紙をくれたろう?好きです。恋人になってほしいって。」
「…そ、それ、昨日私が、(バラバラにして海に捨てたやつ…)!?」
目を丸くして固まる私の手の甲に彼は微笑んでキスをした。
8/2/2025, 12:14:48 PM