「踊りませんか?」
いつも、ただ貴方を見つめるだけだった。
貴方は人気者で、声をかけようとしても、周りの娘の視線が痛くて。
ただ声をかける、それだけで心臓が壊れそうになるくらい、いろんな意味でバクバクして。
それで結局声もかけられず、毎日後悔してた。
でも、明日は体育祭。
ダンスがあって、誰が誰を誘ってもいい。
貴方の周りには相変わらず人が溢れてて。
近づくだけで視線が痛い。
でも、それでも。
こんなきっかけでもないと、とても貴方には、声をかけられないの。
もしこのまま卒業したら、きっと私は貴方に忘れられる。
同窓会があっても、「あの娘誰だったっけ?」って言われる存在でしかない。
だったら。そんな位なら。
嫌われてもいい。貴方の記憶の片隅にでも居られるのなら。
ずっと覚えてなくていい。ふとした時に、告られた武勇伝を語る時でもいい。少しでも、思い出してくれれば。
そう考えて、勇気を振り絞った。
「好きです。私と踊ってください。」
10/4/2024, 11:39:15 AM