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「静かな終わり」

物事が終わる時というのはいつだって静かだ。気がついた時には終わっていて、ここでお終いなんて誰も教えてはくれない。本を読んでいる時みたいに、残りはあと何ページかなんて分からないし、めでたしめでたしも存在しない。夜空を彩る花火が、空に溶けて消えていくみたいに、曖昧に終わるばかりだ。

あの人との終わりもそうだった。ドラマの中みたいにキッパリと決別するなんてことはなくて、気がつけば疎遠になっていて、いつの間にか連絡先も分からなくなっていた。後悔先に立たずとはよく言ったもので、本当に、終わったことに気がついてからでは遅いのだ。そんなことすら、終わってから気がついたのだから救いようもない。

あの時ああしていれば、ああしなければ、なんて後から後から思うばかりで、いつになっても私は結局成長なんて出来ていやしないのだろう。そんな苦い過去すら、もはや思い出として語れるようになっていて、それでまた、何かが終わっていたことに気がついた。

いつだって、何かが静かな終わりを迎えようとしているのかもしれない。春になると綺麗な花を咲かせる桜は、そろそろ寿命を迎えるらしい。次に咲くのが最後かもしれない。子供の頃によく遊びに言った公園は、今はもうマンションになっているかもしれない。終わりはいつも見えるところで起こるわけではなくて、むしろ見えないところでこそ起こっているのだと、気がついたのは最近だ。

何かが終わる時、それを終わりだと知っているのは終わらせる側だけだ。終わりを終わりだと知って、惜しむことが出来るのは特別なことなのかもしれない。この世界に不変のものなどなく、全てはいつか終わるものだ。私に出来ることといえば、いつかの終わりを少しでも遠くにすることや、終わりの後に後悔することのないように行動することくらいで、終わりを阻止するなんてことは不可能だ。

いつかの終わりを想定しながら生きるなんて、あまりにも悲観的で、刹那的だ。それでも私は、いつかの後悔を減らしたいから、いつだってこれで終わりかもしれないと思いながら生きていく。

12/29/2025, 4:49:18 PM