あたたかな柚子の色が鮮やかに湯船を彩っている。 いびつな形のまるい柚子が二つ、幼い僕の身体の横を流れて、父の濡れたまっくろな胸毛をなでた。 あのときより狭い湯船と、あのときより大きな身体。 あのときと似た小さな手が、香る柚子を大事そうに握りしめている。
12/22/2024, 12:08:54 PM