「鳥のように」
雪舟の国宝で『天橋立図』を初めて観た時の衝撃は忘れられない。いまならドローンで簡単に手に入る画像であったり動画であったり、一見すると何でもない風景画である。しかし雪舟は応永27(1420)年の生まれで没年は永生3(1506)年と言われている。その時代の事を考えると鳥のように海上を飛行している目が必要になる。
『天橋立図』をみつめながら考えた。これは全て想像の産物なのか。それとも雪舟が本物の天才で、天橋立を実際に歩いて風景を観察した結果なのか、もしくはこの時代に鳥瞰図を描く何らかの画法が存在したのか。最後に、体外離脱という離れ技をやってのけたのか?とまで考えた。
そこで我に返った。案外簡単な理由かもしれない。しかし『天橋立図』に凄まじさを覚えた。これは絵に限らず絶対的に必要なことだ。ともすれば、人は自分の世界しか見えていない事がある。
グローバル経済のいま、日本だけではなく世界の情勢を考えていないと、ある日突然、偶発的に何が起こるかわからない。対岸の火事が飛び火することもある。
さまざまなシュミレーションを行い、将棋の駒を動かすように、さまざま対応策を考え準備しておく時代になったと感じる。鳥のように空を飛んで、高みから観察する目を養おう。それは、人生のどんな場面でもきっと役に立つはずだ。
8/21/2023, 11:50:41 AM