小さな愛
夕ご飯を食べ、片付けを終わらせてソファに座る。今日は先に仕事が終わっていた彼が夕食を作ってくれていたため、ここは公平にと俺が片付けを済ませた。
「お疲れ。はいこれ」
先に一息ついていた彼は、俺に向かって何かを差し出した。それは俺が食べたいと言っていた新商品のお菓子だった。ありがとうと受け取ると封を開けて一つ口に放り込む。最近流行りのチョコミントが口の中で溶けていった。
「一個いる?」
「俺はチョコミント苦手だからいらないよ」
そ?とまた一つ口に放り込んだ。
「俺が食べたいのよく覚えてたね」
「そりゃ恋人の好きなものですから」
「…自分は苦手なのに?」
「俺が食べるわけじゃないからね」
全部食べたらいいよと優しく頭を撫でられる。
この人はチョコミントというよりも、そもそも甘いものが苦手だから、お菓子コーナーを覗くことがないはずなのに、それでもコンビニに寄ったら俺が好きそうなものを買ってきてくれるのだ。
そんな優しさがたまらなく幸せに感じてしまうのだった。
6/25/2025, 4:39:31 PM