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「何でもないフリ」

 脈打つ心臓の音がやけに大きく響く。指先は氷のように冷たくなって感覚がないというのに、掌にはじっとりと汗が滲んで気持ちが悪い。溢れ出そうなものを無理矢理飲み込み、彼女に背を向けて歩き出した。踵を返すその瞬間、彼女の瞳に映る俺は、いつも通りの無表情。ひどく胸が痛むような気がするが、これは俺の勘違いだ。そう、思うことにした。

12/12/2023, 3:10:15 AM