vivi

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お題:最初から決まってた


小さな、けれど高価なものが入っているのだろうと分かるような小さな箱を差し出して仙道は言った。

「俺とずっと一緒に居てください」

小箱を受け取り蓋を開けると、そこには指輪がふたつ並んでいた。

「お前、これ・・・」
「藤真さんとずっと一緒に居たいんだ。どんな時も」

頬に温かさを感じる。仙道の手のひらに導かれるように、俺は顔を上げた。
仙道の顔は真剣で、それでいて緊張している様子だ。こんな表情もするんだ、なんてのん気に考えてしまった。

一体どれほど悩んだんだろう。どれだけの勇気が要っただろう。頬に当たっている仙道の手は汗で湿っていて微かに震えている。

返事なんて、そんなの最初から決まっていた。

仙道の手に手を重ねる。

「ああ、一緒に居よう」

8/8/2023, 1:36:56 AM