無垢
「あんたの対義語?」
「はは、言ってくれる。まあ、それもそうなんだが。
私にとっては君のことだ。君そのものだ。」
「はあ。わかってないな。あんた、僕に夢見すぎだよ。」
「夢か。そうなのか。私は君に夢を見ているのか。
かもしれんな。君と私は真逆だから。」
「違う。僕らは似た者同士だよ。だから惹かれ合う。」
「似ているか。ふぅむ。では赤ワインは好きかね。」
「好き。」
「白ワイン。」
「嫌い。」
「ミートソース。」
「好き。」
「ジェノベーゼ。」
「嫌い。」
「まあ予想通りだ。では雨はどうだ。」
「嫌い。」
「梅雨。」
「好き。」
「ふふ、何故だ。」
「そんなの知らないよ。」
「奇遇だな。私は白ワインとジェノベーゼが好きだが梅雨も好きだ。理由はわからない。」
「…何の話してたんだっけ。」
「…忘れた。」
「このじめっと暑苦しい部屋で抱き合うのは?」
「…好きだよ。」
「僕も。」
梅雨
6/2/2024, 7:09:18 AM