昨今のブラック企業問題は、天界の鬼たちにも該当されている。
どうやら地獄へ落とされる魂が一昔前から急激に増加したようだ。
明らかに人数オーバーで、監視の管理が行き届かない
終わりがないので罪人は増えるばかりで狭い
普通に疲れた、休みがほしい
鬼たちの陳情は日々増える一方である。
上層部もこの問題を重視しており、近々人員を増やすことを約束しているが、鬼研修を無事合格できる者は非常に少ないので、幸先は暗そうである。
そもそも天国、地獄ともに職員が少ないのは、適正な魂が流れてこないのが原因である。
現代においては多様性が叫ばれ、はっきりと白黒をつける事は良しとされない風潮だ。
善と悪のあり方についても疑問視されている中で、強い志を持った魂は非常に稀である。
では地獄へ落とされなかった者が行く天国はどのような状況かというと、それはもう閑散としている。
元々輪廻する魂の休憩場所として扱われる存在であるため、設備と人員は最小限だ。
地獄界隈では天国と地獄の雇用状況のあり方についても不満の声が上がっており、早急な改善を求められている。
『天国と地獄』
5/27/2024, 1:50:43 PM