渚雅

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「さようなら」

その言葉が君の別れの挨拶。『またね』でも『バイバイ』でもなくて,必ず『さようなら』と君は言う。

まるでこれが永遠のお別れみたいな そんな挨拶を君はいつも選ぶ。次,なんて また,なんて約束できないとでも言うように。



ん と発音する時のように結ばれた唇。伏せられる睫毛。真っ直ぐに揃えられ伸ばされた指先。そのどれもがいやに丁寧な動作で妙に不安な気持ちを掻き立てる。

スっと ふとした瞬間に消えてしまって,これが本当のお別れに 別離になってしまうんじゃないかって。考えすぎだと臆病だと笑ってくれていい。むしろそうしてくれたのならどれ程気楽になれるのだろうか。

あぁ,でも。きっと君は……
否定してくれないのだろうね。



それはきっと初めから定められた運命。赤い糸はいつか解けて跡形もなく消え去ってしまうから。

それも遠くない日に。









テーマ ; 別れ際に

9/28/2023, 2:56:08 PM