ぬめって、洗って、流されて。
縋ろうとシンクにしがみついても、
裏をかこうと蛇口にひっそりくっついていても、
全て見つかって、いとも容易く蹴落とされる。
流されてしまいたい。
恋して、やぶれて、忘れたくて。
縋りたくなくて手を離そうとしても、
いっそ壊れようと貴方に想いを伝えようとしても、
全て怖くて、落とせないまま過ごしてしまう。
シャワーを何度も何度も浴びて流そうとした。
でも流れなかった。泡なんかじゃなかった。
今だけは、恋心が儚いなんて嘘だと思う。
許しを得てなんかいないのに、
もう私に何にもしてくれやしないのに、
図々しく居座って流されずにずっと留まっている。
飲みこんではいけないのならば、
シャンプーやリンスみたいに注意書きに書いておいてよ。
貴方への想いを一個ずつ、カラフルな容器に入った
しゃぼん玉の液に溶かしてしまいたい。
大好きを溶かしたしゃぼん液の膨らみが、全部割れて
宙に消えてしまえば、きっと楽になるから。
「泡になりたい」 白米おこめ
8/5/2025, 11:22:25 AM