てふてふ蝶々

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母子家庭の子沢山。
長男な俺。
これだけで、だから1人でいたいと思う理由は十分だと思う。

兄弟の父親が何人も違う。
母親は、水商売以外働いた事がない。
これで、役満じゃないかと思う。

じっと耐え、長い事待った実家からオサラバ!

俺はやった!やり遂げた!
公立の高校の学費を自分で稼ぎながら卒業し、晴れて住み込みではあるが、家を出られた。
自動車の組み立て工場で働きながら金を貯める。
治安は良くないけれど、バイト代を母親や兄弟に盗まれなれてる俺は被害にあった事はない。
しかし、応募されてた条件とは随分違う気がする。
なんやかんやで金を払わなければならない。
田舎で金を使う店もないのに、貯まらない金。
二十歳になった。
ここにいても金にはならないと、一念発起して、ホストを目指す。
酒飲んで金もらう。くらいの知識しかなかったけれど、
遅刻しない。健康。って程度で採用された。
顔は母親に似てると思う女顔。父親の顔しらんからわからんけど。
で、ホストってのも寮に入るらしい。
しかもタコ部屋。
こりゃ勘弁。
早く金もらって、念願の一人暮らし!
ホストのイロハを叩き込まれた。
掃除や身なり。
何万円もするTシャツの存在を初めて知った。
アホじゃねーの?って思った。
店で出す酒も、びっくりな値段がある。丸の数数えるのが大変そうだ。
お客さんを姫と呼ぶ。
おばあちゃんでも、なんでも女性は姫らしい。
トンデモな世界だなと思ったが、母親に似たのは顔だけでもなかったようで、なんか指名?俺だけの姫が増えた。
姫が増えたら、金も増えた。
姫が増えたら、連絡したり、会ったりと時間がなくなった。

一年もしないで念願の一人暮らしができるようになった。
セキュリティ万全のマンション。
俺が思い描いてたのと全然違う豪華なマンション。
ブランド物も増えた。
もらったり、買ってもらったり。
携帯もたくさん持たされた。姫に。
姫直通。
姫直通がなったらすぐに折り返す。
寝てたなんて言い訳はできない。
他の姫といる時になっても、仕事の都合上仕方ないと断って折り返す。
そうすると姫は怒る。俺を自分だけのものとしたいらしい。無理だろ。
お客の整理は難しい。
いや、姫の整理。

姫の仕事はさまざまで、昼の仕事、夜の仕事。掛け持ちの仕事。
そんな姫が頑張って稼いだ金を俺に使ってくれてる。
一番儲かるのは店だけど。

今は金がある。自由でもある。
でもなんだか姫のために、店のために。
凄い窮屈な感じがする。

ちょっと休みが欲しくて、普通ならこんな事で休ませて貰えないんだけど、店に頼んで1週間休ませてもらった。
姫直通の電話は店に任せる。
他の姫達も店に任せる。
一台だけ新しいスマホを持って、一人旅。
スマホで写真を撮って店に送る。その写真は姫に送られたりする。
1人でいるようでそうでもない。
電車に乗れば乗客がいる。タクシーに乗れば運転手。
車の免許取っとけばよかったなと思う。
田舎の繁華街で小さなBARに入る。
お客はいないけど、BARの人がいる。
ホテルに泊まる。フロントに人がいる。
ここまで人を気にするようになるのは自分は変な病気なんじゃないかと思う。
田舎ばかりをハシゴして、1週間で店に戻る。
知った顔に安心する自分にびっくり。
姫達の反応はさまざま。
ずっと1人でいたいって思ってた。
1人じゃないイライラの旅だった。
この仕事は長く続けられないとも思う。
次の目標が定まった。
もう、1人でいたくないって思えるパートナーを探す事。

7/31/2023, 11:18:44 AM