シオン

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 サルサとウィルが昼ごはんを食べていると、食堂に警備隊の服を着た人達たちが入ってきた。
「あの人たちは……?」
 サルサが不思議そうな顔で言うと、ウィルはチラッと横目で見てから答える。
「警備隊ですよ。城の警備をしてる人です」
「……警備隊? どこから警備してるんですか?」
「いくらデウス様が素晴らしい方とはいえども、やはり思想が気に食わないという者はいるんですよ。特に一旦農業や工業に利用されそうになった西や東の人たちは未だにそのことを根に持っているので……」
 ウィルはやれやれ、と言いたげにため息をついた。
「ウィルも前はあそこの部隊だったからと、心を入れ込みすぎではないのか?」
 二人の前に腰掛けながら、意味ありげに笑ってアリアは言った。
「え……! ウィルさんも警備隊だったんですか?」
「…………あぁ、まぁ」
 若干困ったような顔でウィルは目を逸らす。
「帽子を被った姿が似合ってない、なんてよく話題になってたから、嫌そうなのか?」
「……違います。というか知らないんですけど、その話」
 ウィルが怪訝そうにアリアの方を見れば、アリアはそっと目を逸らした。
「まぁまぁ。……じゃあ、そんな後ろめたい過去のように扱うのは何故なのだ?」
「……警備隊はいいものではないので…………」
 ウィルは目を逸らしてそれ以上は何も言わなかった。アリアもため息をついて言及を控え、そして話は終わりとなった。

1/29/2025, 3:59:39 AM