高嶋のぎ

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約束

 

「げんまーん、げんまーん、指切りげんまん」
「まって、なんのオマジナイ?にほんご⁇」

転校生のサーシャが私と小指をつないだまま、青い目を大きく見開いた。デカいお目めがこぼれ落ちそう。

「日本語だよ!えーっと?」
いま勉強で使ってたタブレットを操作して意味を調べる。

「わっ。思ったより怖い、歌だった……」
「なんですか、かしてー!」

2人でのぞく、拳骨万回と針千本飲ますの本当の意味。

「日本人、約束にきびしいの解る。破ったら死ぬ覚悟」
「や、これは昔の人が怖いだけ!」

サーシャが首をきる仕草をしたのであわてた。
日本が誤解されてるし、まだ10才で死ぬのは可哀想だ。

「サーシャは守る。貴女は守りますか?」

小指を差し出すその目は本気だったから、私もうなずく。
もう一度、歌詞を2人で見ながら小指をからめる。

「宿題はサーシャだけとやる」
「お菓子は2人で分ける」

2人だけのないしょの約束。

「げんまんだよ」
「針千本、覚えましたよー」

ケラケラ笑って歌う、約束の歌。

指きった!!

3/4/2025, 3:01:49 PM