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Original №3 『翠縹《すいひょう》の君』

⚠️注意⚠️必ず読んで下さい。
※この物語には死ネタ、夢の表現がある為、
読む際にはご注意下さい‼️
もし、読むとしても作者は一切責任はとりませんので、読者様の自己責任でお願い申し上げます。
大丈夫!問題ない☺️という方のみお読みください
















ふわふわと男にしては長い黒髪を纏め、
大して目が悪くないのに周りと違う瞳の色を気にして黒縁メガネを掛け、黒のチョカーと瞳と同じ色のピアスを付けた不良のようでそうでも無い優しい彼。
薄い硝子の向こうにある翠縹の瞳に俺は何時からか目を離せなくなっていた。
それと同時にその奥に映る情の欠片に気づいてしまったが、同性...しかも年の差もある年下の青年だと抱いてしまったこの心に言い聞かせていた。
言葉にすれば変わってしまうこの関係を恐れて、俺は今日も彼の気持ちに気づかないフリをする。

彼のバイク〖ハーレイ〗の点検作業を請け負い、弟たちと語らう彼を横目に見ながら作業をしているとふと彼と目が合う。
緑と青の織り交ざった夏の翠縹の色がキラキラと宝石のように輝いて俺を写す。それと同時ににこやかに笑っていた表情がふにゃりと柔らかくなり頬に赤みが増して、俺の名前を呼んだ。

(あぁ、そんな表情《かお》をされてしまうと折角隠していたこの気持ちが揺れてしまうじゃないか。)

何処も赤くなっていないことを祈りながら、どうしたと作業をしていた手を止める。
どうやら、買い物に行く妹の付き添いとして出かけるようで何か必要な物はないかと確認で呼んだそうだ。
ココ最近、弟の1人が作った不良グループと他のグループの抗争が近い為、何かと身内だからと目をつけられやすい妹の護衛として付き添いを彼が申し出たのだ。何かと腕っぷしのある彼は負け無しの弟と互角に空手を打ち込み合うほどの実力なので、こちらとしては頼もしい限りだ。妹を頼むとつげ、友人たちと喧嘩する弟たちと共に彼を見送り、お礼として代金を割引かと作業を再開する。
何かと強い彼なら大丈夫だろうと安心して・・・・。





この時、少しでも彼を心配していれば...
1人ではと信頼する友人たちを共に行かせてやれば...



後悔なんてしなかったのにッ・・・・。







『花垣アソタさん。
2月22日 19時39分...ご臨終です。』



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《花垣 アソタ》女性

▶2月22日、当時抗争前の不良グループのメンバーが東京卍會の総長の戦意を削ぐ為、総長の妹を殺害しようと計画。計画当日、2人がかりでバイクの勢いにて鉄バットで妹を撲殺しようとし、それに気付いた花垣氏が妹を庇い、後頭部を殴打され意識昏倒。
無傷であった妹が近くにいた兄弟に助けを呼び、救急車を要請。5分後、現場に救急車が到着し、応急処置をするも意識は回復せず、近くの病院にて緊急搬送。
●●病院に搬送されるも19時39分、○○医師の下死亡が確認される。

死因は後頭部による鉄バットの殴打だと考えられる。

現場を目撃した人の証言の下、花垣氏を撲殺した容疑者2名を緊急指名手配し、警察は捜査を進めるが、
☆☆年♢月※※日、○○建物内にて指名手配されていた未成年者2名が無惨に殺害されているのをその建物の管理者が発見。ご遺体には手足を拘束した状態で何度も殴打された跡が見つかっている事からご遺族またはその関係者による怨恨での犯行でもはないかと亡くなった花垣氏の関係者を調査するも手掛かりは掴めず、未だに2人を殺害した犯人は見つかっていない。

容疑者2名の死因は撲殺ではなく、頭部に残った銃痕から銃殺と断定。
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12年後...

その日はお盆を零したように連日の雨で、
義姉の墓参りには向かない天気だった。
だが、行かないという選択肢はなくおれは草臥れた黒いスーツに身を包んで手向けの花と傘を抱えて石段を1人歩く。
あの日、総長の妹の未来は姉が置き換わるように亡くなり、おれはその知らせを聞いたと同時に未来へと帰った。何度も変えられない義姉の未来はおれの知らない所で死んでいく。
だが、今回だけ義姉の死を身近に見てしまったッ。
総長の妹さんの叫びに急いで駆けつければ、そこには地面に横たわり動かなくなってしまった義姉。
義姉の頭と横たわった地面は血まみれでおれはその場を動けずにいた。
気づけば目の前には白い布を被った義姉がいた。
そこからはどうやって未来に戻ったのかハッキリと覚えておらず、未来に戻ったと同時に別居している両親から義姉の命日だと電話越しに告げられて今に至る。
トラベル以前たった1度の喧嘩で疎遠となってしまった義姉についておれは何も知らなかったと未来を渡る度に気付かされた。
今回だって姉が好きだったという花も知らず、結局は花屋のオススメに任せて持ってきた。

義姉の墓は花垣家ではなく、義姉の本当の母の実家である『紫陽家』の墓に埋葬されているらしい。
どうやら母方の祖母が葬式時に態々頭を下げてまでお願いしたそうだ。娘と同じ墓に入れてあげたいという願いに両親は賛成し、義姉は紫陽家の墓に眠りについている。
少々遠い場所を駅を乗り継いでやってきた。
『紫陽家』という墓石を探しながら歩いていくと、目の前を傘も刺さないでいる全身真っ黒な男性が通り過ぎる。ふと男の耳に飾られる緑色のピアスが目に入り足を止めた。
義姉も同じものを付けていたなぁと思い出しながら、再び足を進め、視界と悪い中やっと『紫陽家』の墓を見つける。
すると、墓の前に1本の黒い薔薇が置かれているのに気づいた。

黒色の薔薇に少し気味悪さを感じたが、
これは一体誰が置いたのだろうか?





8/6/2024, 5:48:34 PM