Yushiki

Open App

 トン、トン、トン。

 窓のガラスを叩く音がする。
 部屋の中にあるベッドの縁に腰を掛け、手近にあった本を読んでいた私は、ふと読むのを止めて窓の方へと顔を上げた。


「ねぇ、ねぇ、中に入っていい?」


 窓の外からそんな声が聞こえる。私は閉じた窓をじっと眺めながら、はっきりとした声で告げる。




「ダメ」




 私は再び本のページに視線を戻す。
 窓の外が大きな影に塞がれたように暗くなり、悔しそうな叫び声が響き渡った。



【窓越しに見えるのは】

7/2/2023, 8:33:43 AM