龍那

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[もしも未来を見れるなら]

「そう思ったことはありませんか!」
「ない」
「なんでですか! これから押し付、プレゼンしたいボクの発明が台無しになる!」
「押し付けるって言ったな。いらない」
「いいえ、欲しいって言わせてみせます!」
 そう言いながら置かれた、自称「未来が見える機械」はスマホのようだった。画面を指でつついてみる。ぱっと表示された画面には、テキストの入力フォームや数値の設定欄がある。
「パラメーター調整すれば3分後から1週間後までなんでも見放題。音声で指定もできますよ」
「便利だな」
「でしょう!」
「…….よし、じゃあひとつ使ってみてから決めよう」
「いいですよ。これの結果は絶対ですから」
「たいした自信だな」
「ボクの発明品を甘く見ないでください。さあどうぞ」
 差し出された機械を受け取る。音声入力にして、用意した質問を入力する。
「5分後に俺がこれを欲しがってるかどうか見せてくれ」

 その機械が返してきた5分後の俺はこう言っていた。
「なるほど、性能は確かだな。うん、いらない」
 

4/19/2023, 1:31:19 PM