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「前付き合ってた人がくれた海で拾ったシーグラス」
「シーグラス?ってなに?」
「もとはゴミだけど海でもまれてなんかキレイになったっぽいやつ」
「ふーん。ごみが宝物」
「なんかきれーじゃん」
「なんかきれーならいいの? ゴミでも?」
「いいよ、なんかきれーなら」
「ふーん。うーん」
食べ散らかしたあとの机の上を見渡してる。さすがにないよ、なんかきれーなものなんて。
やっぱり見つからなかったらしくて、今度は自分のポケットを探り始めた。ないでしょ。つかなんで探してんのさ。
「あ」
ポケットから出した握りこぶしを目の前に突き出される。なんとなく手で受ける準備をする。ぽとりと落ちたのはさっき噛んでたガムを包んでた銀の紙。
「なんかきれーじゃね?」
「さすがにない」
でもここで一つ、意地悪を思いつく。
「でもあんたが一生懸命探した『宝物』ってことね。もらっとく」
「え」
「どうしても宝物を渡したくなって探したんだよね。大事にするね」
「なんかちげーんだけど。どこまでゴミを大事にするか見たかっただけなんだけど」
「ありがとう」
めったに見ない顔してる。今日はこっちの勝ち。

2023/11/20 宝物

11/21/2023, 4:39:03 AM