300字小説
不老不死の大魔法使い
いらっしゃい。久しぶりの客人だ。
北の大魔法使い? そんな大した者ではないよ。不老不死なんて退屈なだけだからね。暇つぶしに知識を溜め込んだだけさ。どうして不老不死になったって? ……大切な人の呪いを解くのに人間の寿命では足りなかったというわけさ。その人は? とうに天に召されたよ。折角、呪いを解いたのに、新しく私と同じ呪いに掛けるわけにはいかなかったからね。
……同情はいらないよ。私は自分で納得して今を生きているのだから。
そうだな。久しぶりの外つ国からいらした客人だ。今夜はゆっくり休んでくれ。そして、とっておきの酒瓶を開けるから、君の国の、ここに来るまで君が見て聞いた世の様子を私に話してしてくれないかい?
お題「同情」
2/20/2024, 11:04:45 AM