ドロドロと黒く溶けている。あまりにも醜い。
世界が病気で溢れた。世界中の人がドロドロと溶け始めた。僕の周りの人間もどんどん感染していく。だが、皆変わらずに生活している。僕はそれが不思議で仕方がなかった。だがそれ以上に怖かった。
「僕もあんなふうに醜くなってしまうのかな」
親友のディアに聞いてみた。
「さあ。でもいつか変わってしまうだろうね。僕もルースも」
嫌だ。僕は美しいままでいたい。そしてなにより美しいディアに醜くなって欲しくない。だが、もう世界中の人が醜くなってきている。
「ねぇディア。僕は君に美しいままでいて欲しいんだ。ずっと美しいままで僕と一緒にいて欲しいんだ。」
心の底からの願いだった。そう言ったらディアは微笑んだ。
そして僕らは海に溶けた。ずっと美しいままで、ずっと一緒にいるために。僕らは世界で1番美しい。
追記
解読者へ
世界は病気に満ちていた。皆汚かった。だが、溶けてなんかいなかった。ルースは病気だった。心の様が容姿として見えてしまう目の病気。本人は気づいていなかったのだけどね。僕がそれを隠していたから。でも、病気なのはルースだけじゃないだろう?僕だって君だってなにかの病気だ。だが、あまりに病気が溢れるものだからそれに気づかなくなってしまったんだろうね。
結局は皆汚いということだ。ルース以外はね。
ディアより
1/7/2023, 9:22:18 AM