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昨夜は、

風が強くて夜中の12時をまわって3時頃まで眠れなかった。眠れない間、養父とその連れ子、『弟』だった子の事を思い出していた。

母と養父は、わたしが8歳のときに再婚した。弟は、わたしの2歳下で、生まれた時からずっと施設で暮らし、家族というものを知らずに育っていた。施設に預けられた理由は、母親にあったらしい。弟を産んでも、育てられず離婚になり、父親に引き取られたけど父親も育てる事ができず、施設に預けられた、という話しだった。

その弟も初めて施設から出て、家族4人の生活が始まった。

養父はわたしには、ほとんど関心を示さなかった。実の息子にも。

弟は、母に異様なほど甘えていた。

わたしも8歳になっていたので、ヤキモチというものは湧いてこず、ただただ変な子…と、思ってた。

弟とはよく喧嘩になった。キッカケは覚えてないけれど、やられた事は覚えている。わたしの顔や目、頭を狙ってきた。

わたしはひとりっ子たったけど、口喧嘩なら友達としてきたし、負けなかった。だけど、弟は口よりすぐに手をだしてきた。わたしの顔を手で抑えて、そのままひっかくとか、物があれば頭を殴るとか、指で目を突こうとするとか、壁に頭を打ち付けるとか。施設では生まれてからずっと、そういう喧嘩の仕方だったんだと思う。


愛情を一身に受けた…という経験がなかったために、相手への力加減を学べなかったのかもしれない。そこは、わからない。

だからといって、愛情表現が無かったわけではなかった。

公園で大きな銀杏の葉を見つけてきて、
「おねぇちゃんに見せたかった」と言って拾って来てくれたり、ツルツルの石を見つけたと言って、わたしにくれたり、松ぼっくりや道路に書ける石を拾っては、わたしにくれたりした。

わたしか8歳から11歳頃まで一緒に暮らして、母と養父は離婚した。弟とも別れた。


もし、
あの数々の贈り物を貰った時に、わたしが、『ありがとう、うれしいよ、どこでみつけたの、』そういう優しい投げかけができていたなら、わたしに対する喧嘩の仕方は、違ってたかもしれない。顔や頭など狙ったり出来なくなった、、かもしれない。


全ては、『たられば』だけど。

風の強い夜は、不穏な想いに悩まされる。

…ある日、
わたしは、縁側に立って花を見ていたか、伯母と話しをしていたか…弟は驚かそうと思ったらしく、わたしの背中を思い切り押した。わたしは突き飛ばされて、隣の家の生け垣まで吹っ飛んだ。

ちょうど洗濯物を干していた伯母が、その一瞬を見ていて、慌ててわたしを抱き起こした…ところまでを覚えている。

伯母は時々家事を手伝いに来てくれていた。その時の事を話してくれた伯母は、「あの子は加減を知らない、恐ろしい子だ…」と、言ってた。


…風の強い夜は、そんな怖いことばかり思い出す。今日は一日中風が強くて、ゾワゾワして落ち着かなかった。


雪の方が、よっぼどいい。
頬が冷たい手が冷たい、その方がよっぽどいい。

あの子もわたしの事を時々憎んだり、思い出したりして、ゾワゾワしているのかな。

風の強い日は、いつもそういう日だ…


2025/01/31
こういう日は、
旅でも途中でもない、
と、思いたい。

今日限り、
そう思いたい。


1/31/2025, 11:23:48 AM