私は沈みゆく夕日を眺めていた。
ここからの景色を何度眺めたことだろうか。
だけどそれももう今日でおさらばだ。
今日私はこの世から開放されようとしていた。
あのもう見たくもない顔。聞きたくない言葉。
それを聞かなくて良くなることは私を安心させた。
しかし、それと同時にこの世からいなくなる恐怖―不安にも襲われていた。
この恐怖にいつも負けて最後の一歩を踏み出せずにいた。
だけど今日は違う。
…さっさといなくなってしまおう。そして一泡吹かせてやろう。
まあ私の死がどこまで奴らを変えるかは分からないが。
私は―いや、もう考えることはやめよう。この世の執着はなるべく減らそう。
そう思い、私はこの場所―屋上のフェンスに手をかけた。
―もう迷わない。
―さよなら。
テーマ:安心と不安
1/25/2023, 11:25:05 AM