秋月

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いつも窓越しに見えていたのは、空と木々だけ。時たま鳥が止まったりするくらいで、代わり映えのない毎日だった。

お医者様は、『この手術が終われば退院して、沢山のものを見に行けるようになりますよ』なんて言っていたけれど、そんなの絶対嘘だ。私がその台詞を何度聞いたと思っているのだろう。

足の手術が終われば、肺の手術が終われば、心臓の手術が終われば。何度目の手術になるだろう? もう私の体で、外気に触れたことのない場所は存在していないのではと思うほどに手術を受けた。それでもなお、ここがダメだ、これではダメだった、このままだとダメになってしまう。そんな言葉ばかり。

でも今回の言葉は本当だったらしい。あんなにも重くて、腕を動かすことでさえ一苦労だったのにこんなにも体が軽い! これならどこへだっていけるわ! なのに、どうして泣いているの?

7/1/2023, 12:04:49 PM