のぞみ

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相合傘

「あ~!あいつと相合傘してるの見られたー!!
もう、最悪!ほんとついてない!
明日絶対みんなに聞かれるじゃんー」
私は1人部屋の中で叫んだ。
うるさい!って母の声が聞こえたけど、それどころじゃない。あいつって言うのは幼馴染の要(かなめ)のことだ。
要とは小さい頃からずっと一緒でいわゆる腐れ縁ってやつだ。そして、要が今日傘に入れて欲しいと言って来て外は小走りで帰ればどうにかなるぐらいの雨ではなくて土砂降りだったから私は仕方なく入れてやった。
でも、そこを運悪くクラスメイトから見られた。
しかも、あいつは顔だけはよくて、モテるんだ。
顔だけね!これ大事!
今までは妬まれるのが嫌で、幼馴染ってことを隠して来たけど、今日の相合傘で絶対みんなにバレた。
ばっちり見られた。女の子と目合ったもん!
「あー、明日から女子の子達から妬まれる~!」
ベッドで1人ドタバタしていると
「なーにしてんだよ、1人で!
しかも、声が大きくて近所迷惑っておばさん怒ってたぞ?」
私の悩みの元凶がノックもせずに勝手に入ってきた。
「せめて、ノックぐらいはしてよ!要!」
人の部屋にズカズカと!
「へいーへいー」
要は適当に返事をして座った。
「で、お前は何をそんなに考えてるわけ?」
くそ〜、お前が元凶なんだそー
「今日要と一緒に帰ってるところ見られたんだよ!
明日から絶対妬まれる!
あー、私の楽しい学校生活が!」
要を睨みながら要に愚痴る。
「しょーがねーじゃん。あんな雨降るなんて予報では言ってなかったし、文句ならお天気おねーさんに言え!」
「もー、てかあんたは何しに来たのよ?」
要は家が隣だってこともあってよく家に来る。
私も用事がある時は要の部屋に入るし。
「宿題写してーなと思って」
「また!?ちゃんと自分でしなさいよ!」
「まぁ、俺は別に宿題なんかしなくても点は取れるし?」
こいつは勉強しなくても取れるやつ。
だから私が頑張って解いた宿題をよく勝手に写す。
今だって私の返事を聞かずにもう写し始めてるし。
あーあ、憂鬱だ。明日学校行きたくないな。
そんなことを思いながらも眠りについた。
次の日
もう、早速噂されていた。
人の目を感じながらも教室に入ると親友の菜穂(なほ)
が声をかけて来た。
「真里(まり)!昨日要くんと一緒に帰ったの? 
相合傘して仲良さそうに歩いてたって噂になってるけど!」
はぁー、予想はしてたけど、噂回るの早すぎでしょ。
「そう、要が傘ないって言うから一緒にさして帰ったの。周りに誰も居なかったからって油断した〜」
菜穂と話ているとやっぱり朝っぱらから先輩の女子の集団が話しかけてきた。
「野中さん?ちょっといい?」
ほら〜、やっぱり来た。
私は嫌だと言えるはずもなくしぶしぶついていった。
これ、良く小説であるような囲まれて責められるってやつじゃん?
「あなた、要くんとどう言う関係?」
「どう言う関係ってただの幼馴染です。」 
それ以上も以下もなくて私は正直に言う。
「へー、ただの幼馴染?
じゃあ、別に離れてって言ったって問題ないわよね?」
それは・・・・・。
離れるなんて無理だ。小さい頃からずっと一緒なのに急に離れても要は怪しんでいつもみたいに普通のことの様に部屋に入って来るだろうし。
ていうか、学校ではあんまり一緒にいないし。
バレなければ何も言われないし。
でも、この人達に離れろなんて言う権利ないよね?
そんなことを思っていたのが顔に出てたのか、先輩達は睨んで言って来た。
「何よ?離れないっていうの?」
「いえ、別に離れることはいいんですけど、あなた方にそんなこと言われる筋合いないなーって思いまして。」
そういうと先輩達は顔を真っ赤にして怒りを露わにする。
今の発言やばかったかーついつい。
「あんたね!先輩にそんな口の聞き方!」
あっ、やばい叩かれる!とっさに目を瞑った。
けど、いつまで経っても痛みはやってこない。
「先輩〜、後輩に手を挙げるのは流石にやばくないですか?てか、離れるも離れないも俺達の勝手なんで、こいつの言う通り先輩達にそんなこと言う権利ないですよ?」
要がいた。叩かれようとした時に要が止めてくれたようだ。それに見たことないような怖い顔をしてて先輩達に詰め寄っていた。
そんな要の様子に先輩達は怖がって逃げていった。
「大丈夫か?怖かったよな?ごめん。」
珍しく真剣な表情でそして申し訳なさそうな顔をして謝ってきた。久しぶりに見た要のそんな顔を見てどんな言葉を返せばいいのか分からなくなって、笑って言う。
「大丈夫、大丈夫!叩かれる時はヤバいって思ったけど、あんまり怖くなかったし。」
笑って言うと、要はまた泣きそうな顔をした。
「じゃあ、何で手震えてるんだよ?」
言われて手を見てみると震えていた。
やっぱり隠せなかったな。
「ほんと、ごめん。泣いていいから。」
そう言って要は自分の服を私の頭にのせて、背を向けた。
思ったよりこたえてたみたいだ。
私は静かに泣いた。
泣いたらすっきりして要に服を返した。
「はい、どーも〜。その要の服鼻水ついてるかもね!」
ふざけて言うと、要は意地悪な顔して
「ありがとう!
でも、洗って返せよー」
良かった、いつもの私達に戻ってる。ホッとして、私達は教室に戻った。
教室に戻ると、1人の男子が女子に囲まれていた。
「ねー、どうしたの?あれ、転校生?」
気になって菜穂に聞いて見ると菜穂は頷いてそうだと言った。
へー、こんな時期に転校生か。珍しいもんだな?
不思議に思ってそっちを見ていると
「まーちゃん!」
なぜか、転校生はこっちの方に来て、私のことをまーちゃんと呼んだ。
知り合いだったかな?
不思議に思い考えてみると幼稚園の時に仲良くしてた男の子が浮かび上がった。
「もしかして、ちーくん?」
「そうそう!ちーくん!俺のこと思い出した?」
その転校生は小さい頃あったことがあった。
私はちーくんと思い出話をたくさんして、家に帰った。

ご飯を食べてゆっくりしていると、また要が来た。
「もうー!ノックしろって言ってるじゃん!」
そう言って要の方を見ると要は何だか不機嫌そうだった。
「どうしたの?機嫌悪くない?」
なんか顔怖いし。
「お前、今日来た転校生のこと好きなのかよ?」 
なんで急にそんなこと聞くんだろう?
「別に小さい頃の友達ってだけだけど?」
「へー、小さい頃の友達?」
怖い顔をして要はこっちに向かってくる。
すると、びっくりすることを言い出した。
「俺お前のこと好きなんだけど?
まあ、急にこんなこと言って困ると思うけど・・・・」
はっ?好き?
私は動揺して要の方を向くと、どうやら要は本気のようだった。

                     続く。



読んでくれてありがとうございます!
続きが気になるって言う人がいたらハート♥️お願いします。もしかしたら書くかもです。
そして、急いで書いたのでもしかしたら誤字の間違いがあるかもです!
すみません!

6/19/2023, 11:58:14 AM