『イルミネーション』
街はいつもよりさらに煌めいている。
カラフルな電球が街路樹に建物に飾られ、
夜の姿はいつもよりおめかしされていた。
正直イルミネーションの綺麗さはわかんない。
車のライトが眩しく感じるのと同じで、
チカチカと点滅されると目が痛くなる。
それに何より寒い。いつもより着込んだはずなのに
やたらと芯まで冷えるような感覚が続く。
あー...やっぱり帰りたい。
寒いのが苦手だから断ろうと思ったけど...
ちらっと横目で隣にいる先輩の顔色を伺う。
先輩の目は夜の街よりもキラキラしている。
俺に気づいたのか先輩はこっちを向いて
満面の笑みで話しかける。
「寒いの苦手って言ってたのにごめんね!
でも来れてよかった!すごい綺麗で視界が眩しいよ〜」
「そりゃあ良かったです。けど先輩、1人で来れますよね?」
「やだなあ。カップルが多い中1人で来るの虚しいじゃんか。
こういうの誘えるの君くらいなんだし...」
「そりゃあそうですけど...
それなら俺達もカップルに見られますよ。」
ちょっとからかい気味に先輩に返すと、
先輩は今更気づいたのか隠せてない照れ笑いをして
顔を一気に赤らめた。
...先輩の普段見ない一面をみれただけでも
今日は来れてよかったのかもしれない。
なんてクサイセリフは言えないので、
「先輩、顔真っ赤ですよ〜。
もしかして実はデートのお誘いだったり...?」
といつもの調子でからかってみた。
その後、先輩の返答を聞いて、
先輩と同じように顔を赤らめ体の芯まで熱くなった。
語り部シルヴァ
12/14/2024, 11:44:48 AM