あるまじろまんじろう

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 弟の顔がなくなりました。
 まぶたや鼻筋の平たいながらに不規則な顔面の凹凸に、昨日まで存在した眼球や鼻、唇がないのです。
 奇妙なのは、いえ、それだけで十分奇妙ですが、とにかく気味が悪くて仕方なかったのは、他の家族がそのことを塵ほども不思議に思わないことでした。
 弟の顔がない。半狂乱で訴える私の方が家族の目には不気味に映ったのです。
 ソファーに深く体重を預けては、ひどく背中を丸めて座る姿勢は弟そのものでした。小学生ながらに、ずぼらな兄を真似てろくに部屋着を着ない下着姿も弟そのものです。けれどでも、顔がないのです。
 弟は顔のない顔で私を見ていました。顔は戻らないままです。


今日にさよなら

2/18/2024, 12:31:10 PM