あぁ。君が編んでくれたセーター。
クローゼットから出てきたのは、酷く色が薄くなったブルーのセーター。
愛する妻が編んでくれたセーター。
でも、それはもう着れるものではなくて。
虫食いが酷かった。
もう、君に編み直してもらうことはできない。
この数十年。
僕だけの時間が止まった___……。
コールドスリープから目が覚めると、知らない景色。
僕の奥さんも、知人も。
誰ひとり、見つけられなかった。
でも、ただひとつだけあった。
「___あぁ。君が編んでくれたセーター」
11/24/2022, 11:16:56 AM