名無していう名前の名無し🍐

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君の奏でる音楽。


君の奏でる音楽が何時も気持ち悪かった。


そういうのも僕は絶対音感だと思う。

だから、君の奏でる音は何時も気持ち悪い。

普通の人から聴けば美しく虜にして綺麗なピアノだと

思うが僕は違った。

君の1番前の席で、特等席で顔を歪める。

君は演奏後少し悲しそうにするよね。多分僕のせいだ。

でもしょうがない。気持ち悪いものは気持ち悪いんだから

だけどある日君は僕に聴いてきたよね。

「どこか改善点はあるかな!」って。

何時もピアノを弾いているから声は聞かない。

正直言って彼女が僕に声をかけたその声がまるで天使の

ようだった。天使のようにふわふわとしていて

あの、気味の悪いピアノを弾いている人物だとは

思えないほどに。そんな驚いて固まってる僕を

見据えたのか彼女は

「何時も目の前で嫌な顔されて不愉快なの!
私はみんなに楽しんでもらいたい!だから私を特訓して!!」

思わず二度も驚いてしまった。

なんて、可愛らしい天使なんだろう。

僕がこんな悪態を働いたのに彼女は不愉快に思うだけで

それを逆手に取り意見を聞く。凄い人だと思った。

だけどそれは直ぐに地獄に変わった。

放課後、男女が音楽室に二人いる。

__何も起こらない筈が無く

なんて、そんな夢みたいなものは無い。

地獄というのはやはり彼女のピアノの演奏だ。

音楽室に二人というのもあっていつもよりハッキリと

聴こえるその演奏。爪で黒板をきっかくよりも酷い

その音色。彼女は演奏を終え、顔を顰めていた僕に

質問した。

「どこが嫌だった?」

「全部。」

僕は即答した。だって、あまりにも酷かったから。

彼女はショックを受けているようだ。

しょうがない。ひとつ助言してやろう。

「あのねぇ…音楽にも色々あるんだよ。」

「例えば?」

「例えば…こっちの方がわかりやすいか…」
「例えば、何か誤りを犯してしまった人がいるとしよう」

「うんうん!」

「そして、謝罪として土下座を申し込んだ。」

「うん。」

「誤りを犯した人は『すみませんでしたー。』と言い」
「土下座をした。」

「…うん。」

「その次の日に別の誤りを犯した人が来た。」
「そしてまたもや土下座を申し込んだ。」
「その誤りを犯した人は誠心誠意で土下座をした。」

「うん。」

「どっちの方が心が晴れた?」

「…2番目」

「だろう?形だけでも気持ちが伝わらなきゃ
意味が無いんだよ。」

「そっか…つまり言いたいことは気持ちが
篭ってないって言いたいの!?」

「そういうこと。なぁんだ。理解しているじゃないか」

「私は気持ちを込めて演奏してるけど!?」


「それが伝わらなきゃ意味が無いんだよ」と伝えると

彼女は頬が膨れ上がり拗ねているようだ。

でもしょうがないじゃないか。気持ちが

伝わらないんだから。正直言うと君の気持ちは自慢とか

そんな腹黒い類だ。

「どう?私の演奏心地いいでしょ?」
「貴方には演奏できないくらい凄いのよ」

みたいな自慢。「みんなを喜ばせたい」みたいな気持ち

とは程遠い。だから最初は疑った。そこまでして

自分を満たしたいか?って。だけど違った。

分かってしまった。嫌、分からざる得なかった。

_彼女は本能の気持ちに気付いんでいないんだ。

さっきの助言で確信に変わった。

自覚して演奏してたんじゃない。

無意識のうちに本心をさらけ出しているんだ。

まぁ、そんな気持ちが分かる僕も気持ち悪いけどな。

それからというのも彼女との放課後レッスンは続いた。

だけどある日を境に僕の目の前が真っ黒になった。



夏の猛暑に突入した時の出来事だ。

この気温には慣れなくてクラスメイト達も嘆いている。

夏を感じて平和だなぁと感じていてもどこが胸騒ぎを

起こす。不自然というか、何かが引っかかる感じだ。

教室のチャイムが鳴った時、更に胸騒ぎをした。

それは

__あの彼女が来ていない。

というものだ。彼女ひとりくらい来ていなくても

彼女に出会う前は「ただの風邪だろ」程度だったのに

彼女が来ないとここまで心配になる。

そして新たにまた自分の気持ちが確信した。

「僕は彼女が好きだ。」という気持ちだ。

だけどそんな彼女が来ていない。

僕の耳の中か教室に響く、蝉の音。

こんな時に服にベタつく汗。

先生はどこが不安げに告げた。

「──さんは…お亡くなりになられました。」

その先生の一言でクラスはどっと空気が変わる。

まぁ、そんなに愛されていた彼女だ。

亡くなったと言われたら落ち着いて居られないだろう。

まぁ、僕はその中の1人だが。


クラスの誰かが

「な、なんで──さんは亡くなったんですか!」と

感情むき出しで質問する。正直いって有難い質問だった。

だけど先生は違うようだ。少し言いずらそうに答えた。

「…親からの虐待でお亡くなりになられました。」




僕の中でだんだんと確信していくストーリー。

嗚呼、君の奏でる音楽はとても残酷だったよ。


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考察?したい人は直ぐにバッと下にスクロール
してくださいね。




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解説
クラスの中で中心的だった「彼女」はピアノが得意で
誰もが虜になる音色が気に入られていた。

だけど絶対音感だと思う「僕」はその音が嫌いであった

理由は簡単で、「僕」は絶対音感の類には入らず

その絶対音感よりもレベルが各違いで、演奏の気持ちを

分かるようで、「彼女」は親に虐待されていてその不満を

ピアノの演奏で本能がさらけ出していた。

という簡単なストーリーでした。


ちょこっとこだわったポイントとしては途中で「僕」が

『君』から『彼女』へ言い換える時があるんですが

それは「僕」が「君」に異性として見ているという変化を

表したなんとも分かりずらい表現でした。

天使みたいと思ったのはただ単に一目惚れです。

ほら、良く恋は盲目って言うじゃないですか。

それです。最後は「彼女」が亡くなったことで絶望し

好きな子が居なくなったと言うことで最終的には

「君」に変わっていますね。俺は何時もなら大人しめ?

というか全然大人しくもないんですがストーリーの

主人公の年齢によって文面を変えていまして、

その高校生のギャグというかノリみたいな部分も少し

入れて書いてみました。途中眠気が襲ってきましたが

何とかストーリーを終わらせることに出来ました。

なんだかんだ言って40分近く書いていたので是非

今後とも読んでくださると嬉しいです。

ここまで読んでくれて本当にありがとうございました!

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8/12/2024, 7:29:37 PM