夢中になって読んでいた小説から顔をあげ、私は部屋の隅にある時計へと視線を移した。時計の短針は、午前5時を少し過ぎた場所を指している。 そんなに時間が過ぎているとは思わなかった。 私は慌てて立ち上がり、窓へ向かう。そして、カーテンを勢いよく開けた。 闇に染まっていたはずである前の田んぼが、いつの間にか薄ぼんやりと照らされていた。 今日、いや昨日はいつの間にか終わっていたようだ。《題:夜明け前》
9/14/2023, 2:25:31 AM