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あいまいな空

曖昧模糊としたはっきりしない
ぼんやりした天気 さっきから短い
天気雨が 降っては止みを繰り返し
止んだと思ったら またお日様が顔を
覗かせていた。
あいまいな空がまるで優柔不断な俺の
心の様だった。

「まだ悩んでるの?」とうとう母親に
話し掛けられた。

「うるさい こんなはっきりしない天気が
悪いんだ!」

「まるであんたみたいだね」
母親に、俺自身が思っていた事を指摘された。

傘を持って行くか それとも折り畳み傘にするか 持って行かないかと言う
下らない三択で悩んで早数分

「そんな事で、悩んで学校に遅刻して
先生に言い訳を考える方が大変だと
思うけどね!」 ごもっともである。

「別に天気雨だし 濡れたってすぐ止むん
だから良いじゃないか 水も滴る良い男に
なってきな!」

母親の決断力が男らしくて格好良い
本当に俺は、この母親の息子だろうか
俺が産まれる時に誤って遺伝子が
誤作動を起こしたんじゃ無いだろうか....

きっと母親の中では傘を持って行くか
持って行かないかその二択しか無いのだろう....

そしてその母親の息子である俺は
悩んだ挙げ句 結局その中間を選ぶ
俺は、折り畳み傘を手に持ち鞄にしまう
やっぱり予防線を張ってしまう
優柔不断なあいまいな俺

俺は、母親に見送られ自分と同じ
あいまいな空の下に飛び出した。

「行ってきます!」

6/14/2024, 10:59:37 PM