だってあなたは私だけのもの。
「あーあ、きみのせいであの子泣いちゃったよ」
可哀想にね、なんて思ってもないことを並べたてる。それだけで優しいきみは顔を歪めて、何も悪くないのに謝るのだ。何度も、何度も、誰に対してか分からない謝罪をして罪悪感を募らせていく。
「なんできみが泣くの」
ポロポロと透明な涙を零してまた謝る。そうやって少しずつ壊れていくきみが好きだ。俺の思うままに一人踊りする人形はとても美しい。
「俺はきみのものだから、仕方ないよね」
暗く濁った瞳に光が差す。可哀想で可愛いきみ。蜘蛛の糸に縋る罪人のように、俺に縋ればいい。
きみには俺しかいないのだから。
可哀想な私のあなた。
そのまま私に堕ちてきて。
あなたは私だけのもの。
【題:まだ続く物語】
5/31/2025, 4:00:44 AM