酸素
学校の一角。
なんの変哲もない、授業が行われているだけの教室。
騒がしい教室。
窘める教師。
聞かん坊の高校生たち。子供たち。
その中で一人息を張り詰める。
大きな声が上がるたびに体はビクついて強張る。
逃げ場はなかった。
大きな声とともに怯えで跳ね上がる体。
気づかれないで良かったとその度に胸を撫で下ろす。
騒ぐことが正義のような彼らの前で、
大きい音が苦手だなんて言えるはずもなかった。
目の前で合唱される大声。
笑う、私以外。
顔を顰める教師。
途方もない騒ぎ声。
何でもいいからこの場を離れようと、
一言断りを入れて御手洗いに向かった。
コンタクトを直している先客にも気づかれないように、
静かに足早に個室へ閉じこもる。
どうして。
どうして!!!!!!!!!!!!!
あんなにも傍若無人に騒げるのか。
その声が人を傷つけている事が分からないのだろうか。
その声のせいで授業が聞こえない人も、
具合を悪くする人だっているのに。
惨めだ。
惨めだ。
惨めだ。
惨めだ。
惨めだ。
個室の中で空気が張り詰める。
惨めだ。
惨めだ。
惨めだ。
惨めだ。
惨めだ。
惨めだ。
惨めだ。
惨めだ。
自覚しないうちに涙が止め処なく流れていた。
惨めだ。
惨め。
惨めだ。
惨めだ。
惨め
惨めだ。
惨めだ。
惨め。
惨め。
惨めだ。
惨め。
惨め。
息ができなくて、酸素が肺に回らなくて。
惨め。
惨め。
惨め。
惨め。
惨め。
惨め。
私だけに酸素が足りない。
5/15/2025, 7:03:11 AM