はた織

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「こんばんは、お月さま。最近夜になっても光が眩しいよ」
「こんばんば、星の坊や。人間が夜空を駆けたくて、科学の力で、鳥になったり、飛行機を飛ばしたり、光線を使って世界と繋がったりしているの。彼らの夢や希望や憧れが、光って夜も眩しいのよ」
「へえ、そうなんだ。それにしても、眩しすぎるよ。夜空を照らす僕たちなんて、もういらないんじゃない?」
「まあ坊や、悲しいわね。確かに、今の人間たちは、私たちに祈ったり願ったりしなくなった。それでも、生き物と一緒に時間を過ごす為に、光年を告げる役目を忘れてはいけませんよ」
「そうは言っても、僕たちはいつか、あの科学の光に溶けてしまうかもよ。今だって、自分の体が霞んで消えてしまいそうだ。僕も人間みたいに鳥や飛行機、光線になれば、夢や希望、憧れを持って輝くのかな」
「まあ、坊や。どうするつもりなの」
「お月さま。僕、人間の所に落ちてきます。僕も夢と希望と憧れを持って輝きたい。流れ星の僕を見たら、人間は夜空に浮かぶ仲間の星やお月さまを思い出してくれるかも」
「坊や。あなたが落ちたら、人間は弱くて耐えられないわ。それこそ、あなたと同じお星さまになってしまうわよ」
「素敵だね、お月さま。人間が星になったら、明るい夜はすっと消えて、夜空を照らす仲間がもっと増えるんだ。僕、やっぱり落ちてくるよ」
「あら、本当に行ってしまった。今日の夜空は、切ないほどに眩しくて目に痛いわね」
              (250221 夜空を駆ける)

2/21/2025, 1:06:40 PM