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いつだって前もって惜しまなかったことより、惜しんだことの方がずっと大事だった。
ショートケーキも、文武も、ガールフレンドも。
身近過ぎて大きく見えるものほど、遠のくと見つけられないほど小さかった。

昔、ある男が居た。
野球バカで、普通にバカで、俺が惜しむようなことに時間を使う男だった。
俺が受験勉強がしたいと部活をやめた後も、三年のギリギリまでボールを投げ続けたし、俺が模試の結果を海に撒いたとき、クリパで乾杯。
つくづく合わないが、親友だった。行動がそぐわなくても、俺の隣はアイツでアイツの隣は俺だった。
だからこそだろう。俺はアイツとの時間を死ぬほど惜しんだ。
アイツだけじゃない。誰との時間も死ぬほど、死にかけだったのかもしれない。受験に向かって参考書を開く方がずっと安心できた。
親友だからこの位のことは分かってくれる。
そう思っていた。

「……」
そんな問題じゃあなかったのだ。
大学に合格したその日に、あいつの葬式に出た。
泣くのも不義理なくらい俺はあいつのことを忘れていて、参考書まみれの頭をかち割りたかった。
今だけは数学の解法より英文法より、あいつの好きな食べ物が知りたかったし、あいつの声が聞きたかった。
もうどこにも見つからない。
【後悔】2024/05/15
結局自分は反応がないと書き続けられない人間なのかもしれない。
アプリが重いから過去作をpixivかなんかにずらします。

5/15/2024, 12:58:48 PM