紺碧

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■途中です■
「ほんとに〝不条理〟だと思わねぇ?」
「最近知った言葉使わなくてもいいよ」
ちげぇわ! と怒りながらスマホのアプリでカレンダーを顔の目の前に出てきた。
「あいつは昨日から、俺は2週間前からだぜ?
なのに……なんであいつだけ当たるんだよ!」
14日間もだかんな! とわざわざ言い換えられなくても2週間くらい分かるのだが言うのは辞めておいた。
彼が怒っているのは人気のスイーツ店の食べ放題チケットが当たらなかったことについてだ。最近近くに出来た人気の店。特に女性人気が高く、今回のチケットの倍率は高かったらしい。当たる確率なんてまぐれなのに俺にキレられても困る。
「興味がない人が当たるって本当なんだね」
「しかも2枚当たったのに、普段世話になってる俺じゃなくて彼女優先しやがって……薄情者め」
「はは、そりゃ彼女のほうがいいでしょ」
そーだけどよー、と唇を尖らせてそっぽを向いてしまった。今度は怒りよりも悲しさが勝ってきたようだ。表情がコロコロ変わるこの人を見ると、ほんとに飽きないなぁ、とつくづく思う。
テレビをつけるとバレンタイン、もとでかでかと書かれていた。あと1週間後にはバレンタインだ。
「これあげるよ」
「ん? ……は!? おま、食べ放題チケット……!?」

3/19/2023, 8:24:24 AM