沈む夕日
夕日が沈み、濃紺へと変わる空にひときわ眩しく輝く一番星を見ながら、駅からバスに乗り換える。
郊外へ向かうバスの中は、私と同じように仕事を終えた人達で、いつもごった返している。
この時間はひときわ混むけど、早く家に帰りたい。
やすみたい。
だから、混んでいるのがわかってこのバスに乗る。
バスの中の人は降りていって、少しずつ減っていく。
座れるようになった帰りのバスに揺られて、私は再び窓から空を見た。
この沈む夕日の空と夜空へと変わる前の空。
この時間が好きだ。
境目は曖昧で、それでいて混ざり合うようで完全には混じり合わないふたつの空。
この時間は、特になんの意味もなく日々を過ごしている曖昧な私を包み込むようで、なんだか安心する。
なにか成功を目指して走らなければならないと思わせるほど輝く昼の太陽は、今の仕事に、生活に疲れた私には眩しい。
そうかと言って、夜になったから必ず身を休めて眠りに落ちなければならないと思わせる月の光が照らす夜空も、寝付けない私には、少し眩しくて落ち着けない。
だから、
どちらでもいい。
曖昧なままでいい。
そんな気になるこの時間は、私にとって癒やしの時間になる。
4/7/2024, 1:15:37 PM